本記事はキミコエAdvent Calendar 2020の15日目の記事です。
映画『きみの声をとどけたい』において、物語の中心となるラジオ名かつ喫茶店の名前でもある「アクアマリン」。
アクアマリンは作中でもとても大事な存在でしたが、聖地巡礼をすることでもっと大事なことに気づくことでしょう、と、聖地巡礼のススメと合わせて考察していきます。
存在しない聖地「アクアマリン」
喫茶アクアマリンは日ノ坂町民に愛される場所であったため日ノ坂町に確実に存在していたものですが、朱音さんの事故によって閉じられたことにより十年以上消えた存在になっていたのです。
そういう意味では朱音さんと共鳴したなぎさが引き寄せ、カエルが導いた異世界であると考えると相当捗ります。
物語上でも蛙口寺と並ぶ特別な場所で、いろいろな意味で思い出の場所となってしまうので、作品内でも最も神秘的な場所なのです。
一方、舞台のモデルである腰越においては、さらに神秘的な扱いとなります。
聖地巡礼で腰越のどこを探しても、喫茶アクアマリンは存在しないのです。
いちおう外装のモデルは腰越内にそれらしき建物があり、内装のモデルは下北沢にある喫茶店でほぼ間違いないと言われています。
ただ、キミコエ内のほとんどのお店は主に腰越に実際にあるお店がほとんど同じ見た目で登場しますが、喫茶アクアマリンだけは架空の存在ということになります。
アクアマリン・トライアングル
日ノ坂町のモデルは腰越で、実際のところ地理的にもほぼほぼ同じです。
では、喫茶アクアマリンは場所的にはどこに該当するのでしょう。
答えはピンポイントではなく、神戸橋、腰越橋、小動の3点です。
これは公式資料では明言されていなかったかもしれませんが、作中のシーンとしては明らかに合致します。
ざっくりした接点としては
神戸橋: 駅の目の前
腰越橋: 海の目の前
小動: 建物が集まっている三角形の区画の先端
といったところです。
筆者はこれを日ノ坂町と腰越の時空の歪みと捉え、オカルト誌などでよく取り上げられるバミューダ・トライアングルになぞらえてアクアマリン・トライアングルと勝手に命名しました。
きょう議論した日ノ坂町の地図をじっくり観察していました。今までは神戸橋・腰越橋・小動の信号の角にしか目が行かなかったけど、これら三点で囲まれる地帯こそが真の聖地かもしれない。このアクアマリン・トライアングルには腰越珈琲があり、コンビニ跡地もある。 #映画キミコエ #キミコエ学 pic.twitter.com/Rb5RgU8Q4V
— 岩淵夕希(物智) (@butchi_y) October 14, 2018
アクアマリン・トライアングルの三頂点
本当はアクアマリン・トライアングルの中に入ってくまなく調べるというフィールドワークをしたいと思ってはいたのですが、なかなかそこまで気合を入れて行くことができませんでした。
とりあえず今回はアドベントカレンダーでアクアマリンのことを書くことだけはざっくり決めていたので、改めて日中に時間を作って記事用の写真だけ撮りに行くか、とは考えていたのですが、
つい先日買い物にちょっと出かけるつもりが庄虎でフライを売ってるのを見つけてスイッチが入ってしまい、気分で聖地巡礼に切り替えられるのが聖地移住者の強みと勇んでなかなか実りのあるフィールドワークができたので結果を報告します。
なぎさ達も食べた庄虎さんのフライ(作中では魚金のフライのはず)。
— コトダマ部 〜きみの声をとどけたいファンサイト〜 (@kotodamabu) December 6, 2020
運がよければ土日の午前に江ノ電を眺めながら食べることができます。
朝から聖地巡礼して、夜に羽亜人でコラボカクテルを飲めばキミコエ三昧!!!#こしごえ民 #鎌倉 #腰越 #湘南
(#コトダマ部 岩淵) pic.twitter.com/0LrJEOSA2U
神戸橋の新発見
神戸橋のポイントは、今まで一番角のところにしか目が行っておらず、その美容室「mare」こそがアクアマリンのひとつ、という考えでした。
実際mareには未だに(唯一?)コトダマラジオのステッカーを貼ってくれてるのでなおさらです。
しかし、その隣りにあるカフェ「Inuzo」とバー「Himarak」も、じつは建物的には一緒だったので、この2つのお店もアクアマリンと呼ぶにふさわしい存在と言えそう、と思いました。
美容室はさすがに聖地巡礼して髪を切るってわけにもいかないでしょうが、カフェやバーだったら、聖地巡礼中に訪れて思いを馳せるにはちょうどいいでしょう。
腰越橋の新発見
これはそんなに大した発見じゃないのですが、ちょっとだけアクアマリン・トライアングルの中に入ってみたところ、新しい変化を見つけました。
いつから!!?(例のBGM#映画キミコエ pic.twitter.com/GceFGwrwaZ
— 岩淵夕希(物智) (@butchi_y) December 6, 2020
以前の日ノ坂ごはんの記事で、2020年8月にできたaoがアクアマリンに一番近い場所と紹介しました。
そこができるまでは長らく建築中だったので、建築予定の看板がずっと立っていました。
やっぱり看板は作中でインパクトのあるシンボルなので、どんなものでも見つけると「いつから!?」と例のBGMが脳内再生されてしまいます。
ちなみにaoができる前は長らく駐車場となっていました。
ちょうど劇場公開時の聖地巡礼で「リノカパーク」としてキッチンカーのイベントが行われているときに訪れたことがあるので、それも懐かしい思い出です。
小動の新発見
小動のポイントには、今までの知識では「POWDER COMPANY」という建物がある、という認識で、どうやらSUPやサーフィンを体験できる場所のようなので、筆者にとっては一番踏み込みにくいお店でした。
しかしちゃんと見てみると、小動のポイントの最先端に着目すれば、道祖神こそこの地点のシンボルではないか、と気づきました。
アクアマリン・トライアングルのコアは道祖神!?
道祖神はものによっては成り立ちが不穏だったりするかも、と若干気にかかりましたが、これに関しては満福寺が願いを込めて設置したもののようなので、まあ温かみがありそうです(ホッ)。
ここの道祖神、よくよく見ていると、ペアが4つあって合計8柱居られます。
キミコエの登場人物を思い浮かべると、アクアマリンのレギュラーメンバーに夕も含めた主役7人に、順当に考えて朱音さん(カエルなどという線もアリですが)を加えるとちょうど8人になりますね…。
なんでこうなってるかは次の聖地巡礼までに考えといてください。(突然の某じゃんけん口調)
もしかしたら裏話ではあったかもしれないですが、朱音さんたちが事故に遭ったという夕陽洞のカーブは小動の交差点あたりだ、と聞いた記憶があります。小動がアクアマリン・トライアングルの一点であることからすると、事故現場がアクアマリンの目の前ということになってしまうのでちょっと怪しさがあります。ただ、もしそうだったら逆に道路の守り神である道祖神の凄みが増すところではあります。
アクアマリン=神戸川説
アクアマリンについては、じつは個人的に重大な仮説があります。
腰越駅の前、つまり町の中心には神戸橋があり、そこに神戸川が流れています。
そして日ノ坂町についてのひとつの事実として、川は一切描かれていません。
先ほどアクアマリン・トライアングルは時空の歪みであると表現しましたが、筆者の大胆な考察では
アクアマリン・トライアングルが神戸川ごと結晶化したものがアクアマリンであると信じています。
そう強く思うのは、個人的な思い入れや直感は大きいながらも、いくつかの裏付けがあります。
神戸橋から腰越橋に進むとすぐに腰越海岸と腰越漁港があり、神戸川が海と直結しています。アクアマリンのネーミングは明らかに海や水と関連しているため、海を直接作り出す川そのものがアクアマリンと考えてもよいのではないでしょうか。
そもそも水は神聖化されやすい上、さらに「川」という存在は、『千と千尋の神隠し』でも川の神様がとても偉大だったわけで、聖なるものとして考えるには充分すぎます。
(未鑑賞の人はさらっと流しちゃってください)
さらに偉大さを格段に上げるのは「神戸川」という名前そのものです。
主演声優陣をちゃんと覚えている方は、あやめ役の神戸光歩さんと同じ「神戸」だとまず気づくでしょう。
神戸光歩さんは「かんべ」と読み、神戸川は「ごうど」と読むので、一致するのは文字だけですが、コトダマとして引き寄せてしまっている以上は何か縁があるはず。
それよりも何よりも、個人的には聖地巡礼最大の発見とすら言っていいくらいの衝撃を受けた気づきがあります。
「ごうど」はアルファベットで書くと「Godo」。
「神」は英語で「God」。
なんと神戸川は漢字でもアルファベットでも「神」だったのです。
Godobashi (神戸橋) pic.twitter.com/cgX1YHnTPv
— 岩淵夕希(物智) (@butchi_y) November 26, 2017
それが腰越のシンボルである江ノ電の腰越駅の真ん前に流れているのですから、(あくまでも個人的にですが)神戸川が腰越の真ん中にいる神様としか思えません。
(と言いつつも、町の中心を走る電車こそ神様、という説も唱えたいところ。こちらも改めて考察記事を書きたいです。)
「心の聖地巡礼」のススメ
アニメについて調べていてたまに聖地巡礼のブログ記事を目にしますが、ちょっとおかしいなと思っていることがあります。
聖地巡礼の写真のほとんどが「アニメと同アングルのモデル」ということです。
アニメに出てきたポイントを現地で見つけられたら、「パズルのピースがはまった」みたいな喜びはあると思うのですが、それはある意味聖地巡礼をゲーム的なものとして楽しんでいるように思えます。
ぶっちゃけ楽しめればいいと思えばそれまでですが、作品への没入感としてはちょっと浅いと思うため、筆者はそこで止まっていることにもったいなさを感じるのです。
聖地巡礼をするということはアニメと一致するポイントを数多く発見することができるということですが、裏を返せばそれ以外ほとんどが作中に出てこない場所です。
聖地を旅する過程で、「こんな意外な場所に作中のアレが」とか、本記事で言うなら神戸光歩さんと神戸川みたいに偶然の一致(セレンディピティなどと言ったりも)がきっと見つかるはずです。
筆者が見出した腰越のアクアマリンはあくまで自分が導いた答えなので、これから聖地巡礼をする方は初めての方も改めての方も、心の聖地巡礼を通して心のアクアマリンを探すことを楽しみにして、さらに素敵な思い出が作れることを願います。